「そろそろ小学校受験を考えたほうがいいのかな」と思ったとき、多くのご家庭が最初にぶつかるのが「いつから、何から手をつければいいのか」という壁です。塾のサイト、口コミ、SNSで言っていることがバラバラで、かえって不安になった経験はないでしょうか。
この記事では、小学校受験を検討しはじめた時期(お子さんが0歳〜年中さんくらい)のご家庭に向けて、公的統計や各校・各社の公開情報をもとに、準備の流れとスケジュールを時系列で整理します。特定の塾や学校をすすめるものではなく、判断の材料をフラットに並べることを目的にしています。
※この記事は文部科学省の統計や各校・各教室の公開情報をもとにした調査整理です。金額・制度・入試日程は年度で変わるため、最終的な数字は各校・各教室の最新の公式情報でご確認ください。
結論:準備は「4ステップ」、始める目安は「年中の秋」
先に全体像をまとめます。小学校受験の準備は、おおむね次の4ステップで進むご家庭が多いことがわかります。
- 情報収集:本・公式サイト・説明会で「どんな学校があるか」を知る
- 幼児教室の見学・体験:雰囲気や方針が家庭に合うかを確かめる
- 志望校の候補出し:教育理念・通学時間・進学構造から絞る
- 費用の把握:受験準備費と入学後6年間の学費を試算する
始める時期に唯一の正解はありませんが、多くの幼児教室が「11月から新学年」という区切りで動くため、年中向けクラスは前年11月頃にスタートします。年中の秋までに準備を始める家庭が多い、というのが一つの目安です。年少やそれ以前から通い始める家庭もあります。
学年別・準備のタイムライン
準備がいつ立ち上がるかを、学年ごとに整理します。
| 時期 | 一般的な動き |
|---|---|
| 0〜3歳(未就園〜年少前) | 情報収集の初期。学校の存在を知り、家庭の方針を話し合う段階 |
| 年少(3歳児) | 幼児教室の見学・体験を始める家庭も。週1回や隔週から通い始めるケース |
| 年中の春〜秋(4歳児) | 志望校の候補を絞り始める。説明会・オープンスクールに参加 |
| 年中の11月(新年長スタート) | 多くの教室で「新年長クラス」開講。ここから対策が本格化 |
| 年長の春〜夏(5〜6歳児) | 季節講習・模試が増える。願書準備・面接対策が視野に入る |
| 年長の秋(本番) | 考査・面接・合格発表・入学手続きが短期間に集中 |
最初の一歩としておすすめなのは、4番目の費用把握を早めに済ませておくことです。準備が進んでから「思ったより費用が重かった」と気づくより、最初に全体像を見ておくほうが、落ち着いて計画を立てられます。
本番はいつ?エリアで考査の時期が分かれる
意外と見落とされがちなのが、「首都圏はすべて11月本番」ではない、という点です。エリアと学校によって考査の時期が分かれます。
| エリア・区分 | 考査・合否のおおまかな時期 |
|---|---|
| 東京都内の主要私立小 | 11月1日以降の数日間に考査が集中する傾向 |
| 神奈川・埼玉・千葉 | 10月に考査を行う学校もある |
| 国立小(筑波・お茶の水など) | 合否確定が11月末〜12月下旬と別軸 |
志望校がどのエリアかによって、準備のゴール地点が1か月以上ずれることがあります。「志望校ごとの時期を正しく置く」ことが、準備のスタートになります。なお、具体的な考査日は年度で動くため、必ず各校の最新の募集要項で確認してください。
公立と私立、何が違うのか
「公立小ではダメなのか」という問いには、結論から言うと公立と私立に優劣はありません。事実だけを整理します。
まず前提として、私立小学校に通う児童は全体のごく一部です。文部科学省の統計をもとにすると、小学校児童のうち私立に在籍するのは約1%にとどまります。公立小に進むのが圧倒的多数派であり、公立が「劣る選択」ということではありません。
そのうえで、私立小を選ぶ家庭の理由として各校が公開している教育方針を整理すると、一貫した教育理念のもとで6年間(あるいは中高大まで)を過ごせること、少人数・独自カリキュラム・宗教や情操教育など公立にはない特色があること、内部進学や系列校進学の設計が家庭の方針と合うこと、といった傾向が見えてきます。
一方で、私立小には大きな教育費負担があります。次の費用の章で詳しく見ます。「公立か私立か」は、どちらが上かではなく、ご家庭が何を大切にしたいか次第、というのが公開データから言える範囲です。
塾(幼児教室)の種類と費用感
小学校受験の準備を担うのが「幼児教室(お受験教室)」です。大きく分けると次のように整理できます。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 大手総合教室 | 首都圏に複数校を展開。ペーパー・行動観察・面接・絵画制作・運動を総合的に扱う |
| 個人・中小教室 | 地域密着で少人数。志望校に特化した指導を行うところもある |
| 専科・単科教室 | 絵画・体操・行動観察など特定分野に特化 |
大手のなかにも、保護者が毎回授業を参観できるタイプと、子どもを預ける(参観なし)タイプがあり、方針は教室によって異なります。特定の教室が「良い・悪い」という話ではなく、お子さんの性格や家庭の関わり方に合うかで選ぶのが現実的です。
費用については、知っておきたい点があります。大手幼児教室の多くは、年長1年間の月謝や年間総額を公式サイトで一律には公開しておらず、体験授業や面談時に提示する形をとっています(一部、教室・コース別の費用一覧を公開している教室もあります)。そのため、ネット上の金額は二次情報が多く、幅があります。
二次情報を整理すると、年長の本格対策で年間100万円前後になることもあるとされ、志望校別クラスや複数受講を加えるとさらに上振れすることもあるとされています(教室・校舎・受講内容で大きく変動)。正確な金額は各教室の体験・面談時に必ず確認が必要です。塾費用の詳しい構造は、別の記事で掘り下げています。
塾なしで受かる?面接は両親必須?
準備を始める前に多くの方が気にする2つの疑問を、公開情報の範囲で整理します。
塾なしで合格できるかは、国立と私立で事情が異なります。国立小(筑波・お茶の水など)は抽選を含む学校もあり、私立とは選考構造が異なります。ただし「塾なしでどれくらい合格しているか」を示す公的統計は確認できません。一方、私立小、とくに難関校は、行動観察・面接・絵画制作など家庭だけでは対策しにくい領域が広く、幼児教室を利用する家庭が目立ちます。ただし「高い塾に通えば受かる」という因果関係が公開データで実証されているわけではなく、「塾は合格可能性を高めうるが、費用と合否が単純に比例するわけではない」と捉えるのが誠実です。
面接の形式は、学校によってかなり違います。公式情報を確認すると、形式は大きく分かれます。
| 面接の形式 | 公式で確認できる例 |
|---|---|
| 面接を実施しない | 慶應義塾幼稚舎 |
| 保護者(父母)のみ | 学習院初等科 |
| 本人と保護者(親子面接) | 早稲田実業学校初等部 |
| 本人のみ/集団面接 | 学校により異なる |
「父親が多忙だと不利か」は、一概に不利とは言えません。学校によって「面接なし」「保護者のみ」「本人・保護者」と形式が分かれるため、志望校の形式次第だからです。大切なのは、当日どちらが参加するにせよ、夫婦で教育方針や学校理解を共有しておくこと。詳細は志望校の最新の募集要項で確認するのが確実です。
費用の全体像:受験準備費+入学後6年間
最後に、いちばん気になる費用を「受験準備」と「入学後6年間」に分けて構造で押さえます。
受験準備にかかる費用(年中〜年長)
- 幼児教室代(最も大きい。年長本格対策で年100万円前後になることもあるとされる)
- 受験料(検定料):公式で確認できた複数校では1校30,000円。学校により2万〜3万円程度が目安。併願すると校数分かかる
- 受験用の服・写真・バッグなど
入学後6年間の学費
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和6年12月公表・令和8年1月訂正版)によると、私立小学校の学習費総額は年間約174万円、6年間で約1,046万円です。参考までに公立小学校は年間約37万円、6年間で約220万円で、その差は6年で約826万円にのぼります。
| 区分 | 年間 | 6年間 |
|---|---|---|
| 私立小学校 | 約174万円 | 約1,046万円 |
| 公立小学校 | 約37万円 | 約220万円 |
| 差額 | 約137万円 | 約826万円 |
この「学習費総額」は、学校に払う費用(授業料・施設費など)に加えて、塾や習い事などの学校外の教育費も含んだ数字です。私立小に通う家庭は、学費だけでなく「学費の外側」にも相応の支出をしている傾向があります。学費だけを見て安心せず、全体で捉えておくのがポイントです。
併願する場合の、見落としやすい注意点
小学校受験は考査から合格発表・入学手続きまでが短期間に集中し、学校によっては発表の翌日〜数日以内に入学金の納入が必要になります。そのため、本命校の合格発表より前に、併願校(滑り止め)の入学金の締切が来ることがあります。本命に合格して併願校を辞退しても、支払った入学金は返還対象外とされることが多く(条件は学校により異なるため要項で要確認)、併願校の分の入学金(1校あたり数十万円規模になることもある)を「掛け捨て」にする可能性があります。併願を考えるなら、この一時的な出費に耐えられる手元資金も見込んでおく必要があります。
まとめ:まずは「うちの志望校だといくら」から
ここまで準備の流れ・スケジュール・費用の全体像を見てきましたが、費用は学校によって大きく変わります。「平均で年174万円」と言われても、実際にわが家が検討している学校ではいくらになるのか。そこがいちばん知りたいところだと思います。
そこで、志望校を選ぶだけで「6年間の総額」と「無理なく通える世帯年収の目安」がわかる無料診断を用意しました。首都圏の主要27校に対応し、数字を入力する必要はなく、学校を選ぶだけです。情報収集の最初の一歩として、まずご家庭の数字感をつかむのに使ってみてください。
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※本記事は、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」訂正版、および各校・各教室の公開情報をもとに整理しています。幼児教室費用や併願時の入学金返還可否は、教室・学校・年度により大きく異なります。金額・制度・入試日程は年度で変わるため、最終的な数字や制度は各校・各教室の最新の公式情報でご確認ください。
参考にした一次ソース
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果概要:https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html
- 同・結果のポイントPDF(令和8年1月16日訂正版/私立小・公立小の年額・6年総額):https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_1.pdf
- 慶應義塾幼稚舎(面接なし):https://www.yochisha.keio.ac.jp/admissions/qa/
- 学習院初等科(保護者のみの面接):https://www.gakushuin.ac.jp/prim/admission/qa.html
- 早稲田実業学校初等部(本人・保護者の面接):https://www.wasedajg.ed.jp/elementary/exam-e/application-e/
- 立教女学院小学校(検定料の例):https://es.rikkyojogakuin.ac.jp/admission/guideline/
