「小学校受験の塾(幼児教室)は、いくらかかるのか」。調べ始めると「年長の1年だけで200万円」「大手は300万円」といった数字が並び、身構えてしまう方も多いと思います。
この記事では、各幼児教室が公式サイトで公開している料金と、文部科学省・公的統計をもとに、塾費用の相場を「教室別の公開料金」「費用の内訳」「学年別のタイミング」の3つの角度から整理します。特定の教室をおすすめしたり、優劣をつけたりはしません。あくまで公開情報を集めた「判断材料」としてご覧ください。
※この記事は執筆時点(2026年)の公開情報をもとにした調査整理です。実体験に基づくものではありません。料金は年度・コース・教室で変動するため、最終的な金額は各教室の公式サイトでご確認ください。
結論:塾費用は「基本」と「フルコース」で倍以上変わる
先に結論をまとめます。小学校受験の最終学年である年長期の塾費用は、どこまで対策を重ねるかで大きく変わります。
- 基本の総合クラス中心なら、年間100万円前後
- 志望校別講座・体操・絵画・季節講習・直前講習・受験服などをフルに重ねると、年間200万〜300万円規模
つまり「必ず300万円かかる」わけではありません。「基本授業だけなのか」「オプションまで重ねるのか」で総額が倍以上変わる、という構造です。まずここを分けて考えるのが、費用を見積もる出発点になります。
【教室別】大手幼児教室の公開料金
まず、各教室が公式サイトで公開している料金を整理します。ここで重要な前提があります。多くの教室は、通常授業の入会金・月謝を公式サイトで公開しておらず、資料請求後の個別案内としています。公開している教室でも、特定コース・特定教室に限った金額であることが多いため、「その教室全体の一律料金」ではない点に注意が必要です。
| 教室 | 公開されている料金の例 | 備考 |
|---|---|---|
| 伸芽会 | 年長児国立クラス:入会金71,500円/90分×月4回で月52,800円(いずれも税込) | 新設の国立クラス向けの金額。全コース共通の料金表ではない |
| 理英会 | 浦和伊勢丹教室・年長クラス:入会金44,000円/月額会費29,040円+月教材費15,070円(いずれも税込) | 教室・エリアで料金が異なる。全体の標準額ではない |
| ジャック幼児教育研究所 | 通常授業は公式サイトで非公開(資料請求で確認) | 学校別模擬テストなど一部は公開 |
| こぐま会 | 通常クラスは公式サイトで非公開(クラス決定後に個別案内) | ― |
| 小学校受験統一模試 | 統一模試:1回10,000円(税込・2026年7月実施分) | 教室ではなく模試サービス |
この表からわかるのは、「公式料金を並べて単純比較する」こと自体が難しい、という実態です。料金の透明性は教室によって差が大きく、正確な費用は資料請求や説明会で確認する必要があります。
費用の内訳を6つに分解する
年長1年の費用を要素ごとに分けると、次のような構成になっているとされています。金額は目安です。
| 費目 | 相場の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 入会金 | 数万円〜8万円程度 | 教室・時期による |
| 月謝(基本+志望校別) | 週2コマで月8万〜10万円になるケースも | 最も大きな固定費 |
| 季節講習(春・夏・冬・直前) | 教室により年数十万円規模 | 理英会公式は「冬・春・夏で40万円」の目安を提示 |
| 公開模試 | 1回5,000〜15,000円/年10回前後で5万〜10万円 | 外部でも受けられる |
| 願書添削・面接指導 | 3〜5校ぶんで5万〜15万円程度 | 会費に含まれる教室もある |
| 受験服・持ち物 | 10万〜30万円程度 | 塾費用ではないが総額に乗る |
公式に確認できる一例として、理英会は首都圏の主な幼児教室に通う年長1年間の費用を、授業料約60万円(月5万円×12か月)+季節講習約40万円で「ざっくり100万円程度」と説明しています。ここに志望校別講座や複数教室の掛け持ちが加わると、総額が跳ね上がっていく構造です。
大手と個人・小規模教室、どちらが安いか
幼児教室は、複数校舎を展開する「大手」と、塾長が直接指導する「個人・小規模教室」に大きく分かれます。優劣ではなく、費用感と特徴の一般的な傾向を整理します。
| 観点 | 大手幼児教室 | 個人・小規模教室 |
|---|---|---|
| 費用感(年長・年間の目安) | 公式に確認できる例で年100万円前後から。オプションを重ねるとさらに上振れ | 大手より抑えられることもあるが、料金非公開・紹介制の教室も多く、公式横断の相場は出しにくい |
| 特徴とされる点 | 受験データの蓄積、志望校別・分野別クラス、模試や講習の選択肢 | 少人数で柔軟・きめ細かい対応が期待される場合がある |
| 課題とされる点 | 追加オプションで総額が上がりやすい | 広域データや学校別情報の量は教室によって差が大きい |
「授業は個人教室で丁寧に見てもらい、模試や直前の志望校別講習だけ大手を使う」というように、両方を組み合わせる家庭も一定数いるとされています。どちらが正解というより、家庭の方針と子どもの相性で選ぶ領域です。
学年別・費用が立ち上がるタイミング
塾費用は、通塾を始める学年によって立ち上がり方が違います。一般的な傾向を時系列で整理します。
| 学年 | 通塾の目安 | 費用の特徴 |
|---|---|---|
| 年少(3歳児・入試2年前) | 週1回または隔週から | 月謝も抑えめで、費用は穏やか |
| 年中(4歳児・入試1年前) | 週1〜2回 | 体系的な指導が始まり、講習・模試が加わり始める |
| 年中の11月(新年長開始) | 年長向けクラスへ切替 | 最初の転換点。月謝が数万円単位で上がる |
| 年長の夏 | 夏期講習が上乗せ | 一度目のピーク |
| 年長の9〜10月(直前期) | 全対策クラス+模試 | 絶対的なピーク。月あたりの負担が大きく跳ね上がる |
「早く始めるほど総額は増えるが、月あたりの負担は分散する」「年長からだと短期集中でピークが鋭くなる」という、どちらにも一長一短がある構造です。
「高い塾ほど受かる」は本当か
費用を調べていて、いちばん大事だと感じたのがこの点です。
少なくとも、今回確認した公的統計や学校公式情報の範囲では、「幼児教室にかけた費用の多さ」や「塾の知名度」が合否に直接つながると示すデータは確認できませんでした。
各教室が公表している「合格実績」は、あくまでその教室に通っていた子の合格数の自己集計です。そこには、次のような構造的な偏りが含まれます。
- もともと教育熱心で、経済的にも余裕のある家庭が高額な教室を選ぶ傾向があるため、「合格が授業の成果なのか、家庭の環境によるものなのか」を切り分けにくい
- 小学校受験で見られる行動観察・指示行動・面接での親子関係などは、ペーパーの反復だけでなく、日々の家庭での関わりや子どもの成熟も影響するため、塾費用だけを取り出して合否との因果を測るのは難しい
「高い塾に入れれば安心」と単純化するのではなく、志望校に必要な対策・子どもとの相性・家庭で補える範囲・費用の上限を、分けて考えることが大切です。
塾なしで受かる?国立と私立で事情が違う
「塾なしで受かるのか」という問いには、国立と私立を分けて考える必要があります。
まず、通塾せずに合格する家庭がゼロというわけではありませんが、その割合を示す公的統計や学校公式データは確認できませんでした。そのため、割合で判断するより、志望校の考査内容・家庭で再現できる対策範囲・第三者に見てもらう必要性で考えるほうが現実的です。
そのうえで、国立と私立では選考の仕組みが構造的に違います。
- 国立小学校:一部の人気校では、選考過程に抽選が組み込まれています。たとえば東京学芸大学附属竹早小学校は、第1次選抜と第3次選抜に抽選が設定されています。どれだけ対策しても運の要素が残るため、通塾費を多く投じても結果が保証されない、という点は押さえておく必要があります。考査内容は学校ごとに異なり、ペーパーだけでなく運動・制作・集団行動などが含まれる場合もあります。
- 私立小学校:原則として抽選はなく、願書・面接・考査を通じて、学校ごとの教育方針との相性や、家庭の考え方、子どもの発達・行動面が見られます。学校別の出題傾向や面接対策が必要になることも多く、第三者の指導を活用する家庭が多い領域とされています。
「塾なしでいけるか」は、志望が国立中心か私立中心か、また家庭でどこまで対策を再現できるかで、答えの出方が大きく変わります。
入学後も、塾費用は続く
見落とされがちですが、幼児教室の費用は「合格して入学するまで」の準備費です。私立小学校に入った後も、学習費は継続して発生します。
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和6年12月公表・令和8年1月訂正版)によると、私立小学校の年間学習費総額は約174万2千円で、公立小学校(約36万7千円)の約4.8倍です。このうち塾や家庭教師などに支払う費用は「学校外活動費」の中の「補助学習費」に分類されます。
同調査では、私立小学校に通う家庭の学習塾費は公立を大きく上回っており、入学後も中学受験対策などで通塾を続ける家庭が多い実態が読み取れます。とくに学年が上がるほど、この費用は増えていく傾向があります。受験準備期を乗り切ればゴール、ではなく、入学後の6年間まで含めて無理なく続けられるかを見ておくことが現実的です。
まとめ:うちの志望校では、結局いくら?
小学校受験の塾費用は、基本中心なら年100万円前後、フルコースなら200万〜300万円規模と、対策の重ね方で倍以上変わります。そして「高い塾ほど受かる」ことを示すデータは確認できず、塾なしの可否は国立・私立で事情が異なります。
ただし、実際に必要な金額は、志望校・通塾スタイル・進学ルートによって大きく変わります。塾費用だけでなく、入学後の6年間の学費まで合わせて見て初めて、本当の総額が見えてきます。
志望校を選ぶだけで、6年間の総額と、無理なく通わせるために目安となる世帯年収がわかる無料診断を用意しています。塾費用も含めた「わが家のリアルな総額」を確認したい方は、こちらからどうぞ。
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※本記事の金額はすべて執筆時点の公開情報です。幼児教室の料金は年度・コース・教室(地域)によって変動し、多くの教室は通常授業の料金を公式サイトで公開せず、資料請求後の個別案内としています。あくまで試算・目安としてご覧いただき、最終的な料金は各教室の公式サイト・資料で、統計数値は文部科学省の公表資料でご確認ください。
参考にした一次ソース
- 伸芽会(年長児国立クラスの入会金・授業料):https://www.shingakai.co.jp/news/post/post-96221/
- 理英会(浦和伊勢丹教室2026年度・料金):https://www.rieikai.com/pdf/pdf20260130_07.pdf
- 理英会(年長1年「ざっくり100万円」の内訳):https://www.rieikai.com/ylp/11/
- 小学校受験統一模試(2026年7月実施分・受験料):https://mitsumeru21.com/moshi/new/
- 東京学芸大学附属竹早小学校(選抜と抽選):https://www2.u-gakugei.ac.jp/~takesyo/elementary/recruitment/
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和8年1月16日訂正版):https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_1.pdf
