私立小と中学受験、費用はどっちが重い?進路4ルートを統計で徹底比較

※この記事は公開情報(文部科学省・各塾の公開料金等)を調べて整理した内容です。特定の進路をすすめるものではありません。

「私立小学校に入れるのと、公立小に通って中学受験するのと、結局どっちがお金がかかるの?」

小学校の進路を考えはじめると、多くのご家庭が一度は突き当たる疑問だと思います。「私立小はもったいないのでは」という声を見て、不安になった方もいるかもしれません。

この記事では、その疑問に公的統計をもとにお答えします。感情や体験談ではなく、文部科学省の調査と各塾の公開料金を突き合わせて、進路ルートごとの総費用を並べて見比べられるように整理しました。夜、少し落ち着いた時間に読んでいただければと思います。

目次

比べるのは「4つの進路ルート」

小学校から中学校までの進路は、大きく4つのルートに分けられます。まずは全体像をつかむところから始めます。

  • ルートA:私立小学校6年 → 私立中学校(中学受験なし・内部進学が中心)
  • ルートB:公立小学校6年 → 中学受験 → 私立中学校
  • ルートC:私立小学校6年 → 公立中学校(少数派)
  • ルートD:公立小学校6年 → 公立中学校(中学受験なし・費用の基準線)

この記事では、いちばん問い合わせの多いルートA(私立小)とルートB(公立+中学受験)を軸に、ルートC・Dも参考として並べます。

金額はすべて、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(訂正版・2026年1月公表)の平均値をベースにしています。1円単位の予測ではなく、「構造をつかむための目安」として見てください。

学校でかかるお金を統計で並べる

まず、学校そのものにかかる費用(学習費総額)を、文科省の平均値で確認します。

区分年間(平均)在学期間の合計
私立小学校約174万円6年で約1,046万円
公立小学校約37万円6年で約220万円
私立中学校約156万円3年で約467万円
公立中学校約54万円3年で約163万円

この「学習費総額」には、授業料などの学校教育費だけでなく、給食費と、塾・習い事などの学校外活動費も含まれています。たとえば私立小学校の年間約174万円の内訳は、学校教育費が約98万円、給食費が約5万円、学校外活動費が約71万円です。

つまり、私立小に通う家庭は、学校に払うお金(年約103万円)に加えて、学校の外でも年間約71万円を教育に使っているのが平均像です。「私立小に入れたら塾はいらない」と思われがちですが、実際には習い事や補助学習に相応の支出をしている家庭が多い、というのが統計から見える現実です。

ここまでで、ルートAとルートDの骨格が見えてきます。

  • ルートA(私立小→私立中):約1,046万円+約467万円=約1,510万円
  • ルートD(公立小→公立中):約220万円+約163万円=約383万円

学校でかかる費用だけを見ると、私立小ルートと全公立ルートでは1,000万円以上の差があります。ただし、ここに「中学受験塾」という、統計の表には出てきにくい費用が加わると、話は変わってきます。

中学受験という「見えにくい山」

ルートB(公立小+中学受験)の総額を考えるには、中学受験塾の費用を別に見積もる必要があります。ここが公立ルートでいちばん大きな山です。

中学受験対策は、多くの家庭が小4(小3の2月)前後から本格化させます。大手進学塾の一例として、SAPIXの2026年度の月額授業料は、公式サイトで小4が45,650円、小5が57,750円、小6が66,000円(税込)と公開されています。

ただし、これは平常授業の月謝だけです。実際には、春期・夏期・冬期の講習費、公開模試代、6年生の志望校別特訓などが別途かかります。そして、これらを含めた3年間の総額を、塾は公式には一覧公開していません。

公開されている費用情報や保護者による整理情報を参考にすると、SAPIXの場合で3年間おおよそ260万〜310万円程度が目安とされています(受講講座・模試・季節講習の取り方で変動します)。塾によって費用には幅があり、通い方によって総額は大きく変わります。

「二重計上」に注意する

ここで一つ、多くの比較記事が見落としがちな点があります。

先ほどの公立小の学習費総額(年約37万円)には、すでに塾や習い事などの学校外活動費が年間約26万円含まれています。この状態に中学受験塾の費用をまるごと上乗せすると、塾代を二重に数えてしまいます。

実態に近づけるには、公立小にもともと含まれる塾・通信教育ぶん(3年で約34万円)を差し引いてから、中学受験塾を乗せる必要があります。この記事の試算では、その調整をしたうえで計算しています。

9年間の総額を並べてみる

以上を踏まえて、小1から中3までの9年間の総額を、ルートごとに並べます。文科省の平均値と、塾費用の公開目安を組み合わせた概算です。

ルート小学校6年中学受験塾私立中3年9年合計の目安
A:私立小→私立中約1,046万円ほぼ不要(内部進学前提)約467万円約1,510万円
B:公立小→中受→私立中(塾標準)約220万円約258万円※約467万円約910万円
B:公立小→中受→私立中(塾手厚め)約220万円約313万円※約467万円約970万円
D:公立小→公立中(基準線)約220万円約163万円約383万円

※中学受験塾の費用は、公立小に元々含まれる塾・通信教育ぶん(3年で約34万円)を差し引いたうえで上乗せしています(二重計上を避けるための便宜的な調整で、あくまで概算です)。

今回の試算では、9年間の総額は私立小ルート(約1,510万円)のほうが、公立+中学受験ルート(約910万〜970万円)より、およそ550万〜600万円重くなります。

「私立小はもったいない」とまでは言えませんが、文部科学省の平均値と中学受験塾費用の目安を組み合わせた今回の試算では、「私立小に通わせたほうが公立+中学受験より総額が安くなる」とは言いにくい結果になります。私立小ルートで払っているのは、中学受験をせずに済む6年間の環境と、一貫教育の安心に対する対価、という見方ができます。

なお、私立小から系列中学へ内部進学せず公立中へ進むルートC(少数派)は、学校費用だけで約1,046万円+約163万円=約1,209万円が目安です。私立小に通いつつ外部の中学を受験する場合は、ここに中学受験塾の費用が加わります。

総額だけでなく「いつ払うか」も見る

家計にとっては、総額だけでなく「いつお金が出ていくか」も重要です。

私立小ルートは、小1の入学初年度から費用のピークが来る「早い山」型です。入学金がかかる初年度が最も重く、以降も毎年100万円超の学費が続きます。

一方、公立+中学受験ルートは、小4〜小6で塾費用が集中する「後ろの山」型です。小3までは公立小の負担が中心で軽く、小4以降に塾費用が一気に立ち上がります。

興味深いのは、いちばん家計が苦しくなる小4〜6の時期だけを切り取ると、両ルートの年間負担がぐっと近づくことです。私立小ルートの小4〜6は年間約174万円。公立+中学受験ルートの小4〜6は、塾費用がピークに達して年間約112万〜130万円になります。その差は年間で約44万〜62万円。9年総額では550万円以上の差があるのに、ピーク期の年間フローで見ると、塾を手厚くするほど私立小に近づいていきます。

「公立小だから小学校時代はお金がかからない」という感覚で家計を組むと、小4以降の塾費用ラッシュで想定が狂うことがあります。中学受験を視野に入れるなら、小4〜6のキャッシュアウトは私立小家庭に近づく、と早めに身構えておくのが現実的です。

お金以外の判断軸と、よくある誤解

ここまで費用の話をしてきましたが、進路選択はお金だけで決まるものではありません。

6年間をどんな環境で過ごさせたいか、中学受験の勉強を小学生のうちにさせるかどうか、一貫教育の安心を取るか外部への挑戦を残すか。これらは費用の大小とは別の、教育方針の問題です。ここに唯一の正解はなく、優劣を論じる話でもありません。

最後に、費用面でよく見かける誤解を2つ整理しておきます。

一つ目は、「私立小に入れれば塾代がかからない」という誤解です。統計を見ると、私立小家庭も学校外活動費(習い事・補助学習)に年約71万円を使っています。内部進学で中学受験塾を避けやすいのは事実ですが、教育費が塾ゼロで済むわけではありません。

二つ目は、「公立なら小学校時代はお金がかからない」という誤解です。中学受験を選ぶなら、小4〜6でむしろ私立小家庭に近い水準の支出が発生します。安いのは「中学受験をしない場合」であって、「公立小に通う」こと自体が安さを約束するわけではありません。

まとめ:平均ではなく「わが家の数字」で考える

ここまでを整理します。

  • 9年間の総額は、私立小ルートが公立+中学受験ルートより約550万〜600万円重い(今回の試算)
  • ただし小4〜6のピーク期に限れば、両ルートの年間負担は近づく
  • 「私立=塾不要」「公立=安い」はいずれも単純化しすぎ

ただし、ここまではすべて平均値の話です。実際の金額は、志望校によって大きく変わります。私立小の学費は学校ごとに幅がありますし、中学受験ルートも「どこを目指すか」で塾費用が変わります。

そこで、志望校を選ぶだけで「6年間の総額」と「無理なく通える世帯年収の目安」がわかる無料診断を用意しました。首都圏の主要27校に対応していて、数字を入力する必要はなく、学校を選ぶだけです。

▶ 【私立小 教育費リアル診断はこちら】(無料)
【診断URL】https://yoru-10.com/shindan/

「平均」ではなく「わが家の志望校の数字」で、家計の見通しを立ててみてください。

※本記事は公開情報(文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」訂正版、各塾の公開情報等)の調査に基づく整理です。金額は年度・学校・塾・受講内容で変わる概算・目安であり、特定の進路をすすめるものではありません。中学受験塾の総額は各塾が公式に一覧公開していないため、公開情報をもとにした目安です。あくまで試算であり、最新の数字は各校・各塾の公式情報でご確認ください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次